大仰に盛り上がるバラード

最初は静かなんだけど、どんどん盛り上がっていって最後は派手派手で大仰な終わりかたをする、そんな曲について語るmixiコミュニティの補完サイトです。

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Friday, January 14, 2005

様式美を完成させた「哀しみのマンディ」

Barry Manilowの、ソロアーティストデビューは1973年のこと。ファーストアルバムの"Barry Manilow 1"には"One of These Days"(iTunesで聴く)、"I Am Your Child"(iTunesで聴く)、"Could It Be Magic"(iTunesで聴く)の3曲のバラードが含まれている。その最後の"Could It Be Magic"で、既に「様式化」の片鱗が見られる。非常に薄くではあるが、ピアノで静かに始まり、弦が加わり、その次に「エレベーター・スネア」が入ってくるのだ。

このバラード様式美が完成されたのは、彼にとって最初のヒットとなった"Mandy"「哀しみのマンディ」(iTunesで聴く)である。1975年にリリースされた2作目のアルバムに収録されている。

しかし、この曲には面白い逸話がある。この曲はレコードレーベルAristaの社長Clive Davisから渡された、既に英国でヒットした他人の曲だったのだ。Scott Englishが自作自演している"Brandy"(iTunesで聴く)というもので、テンポは若干早い。Manilowは苦心惨憺の末にこの曲をスローバラードに作り替え、ダブルプラチナムヒットに結びつけた。

静かなピアノのアルペジオで始まる"Mandy"の長さは3分26秒。1分近くたったところでストリングスが入ってくる。2分26秒からは、「エレベーター・スネア」が登場する。最後の"And I Need You"は高音持続で終わる。

Thursday, January 13, 2005

名曲を引き継ぐ「友に捧げる讃歌」

「明日に架ける橋」の直接の後継ともいうべき曲は、同じ歌い手から生まれた。S&G解散後初めてのArt Garfunkel作品にして、初のソロアルバム"Angel Clare"「天使の歌声」の中の最大のヒット曲かつ名曲である"All I Know"「友に捧げる讃歌」(iTunesで聴く)が、それだ。このアルバムのプロデューサーは、S&Gの長年のパートナーであり、「明日に架ける橋」ではエンジニアを務めたRoy Haleeがプロデューサーとなっている。そのせいか、Jimmy Webbの作品はPaul Simonの曲かと思うくらい「明日に架ける橋」と似通ったアレンジになっている。

ピアノに始まり、徐々に荘厳なオーケストラが加わり、最後にはGarfunkelの高い持続音が……。そしてなによりも、Roy Haleeの特許である「エレベーター・スネア」が使われているのである。

3分46秒のこの曲の1分18秒あたりから弦が入ってくる。「エレベーター・スネア」は2分50秒あたりから入り、徐々に大きくなってくる。ちょっと違うのはオーケストラがフェイドアウトしたあとに、最初のピアノのアルペジオに戻るところだ。

Art Garfunkelはこの曲のアレンジを好きではないらしい。もうすこし、大仰でないものにしたいというのだ。1998年のインタビューの中で述べている。実際、1997年のライブ(iTunesで聴く)では、最初の部分こそスタジオ盤と同じようなピアノ伴奏で始まるが、"When the singer's gone"から"there's the light beyond"までの部分は歌わずにバッキングだけ。そして、最後の盛り上がる部分もない。長さも3分12秒と短い。彼は別のインタビューの中で、「あれは、Roy Haleeの仕事だ」と話している。「明日に架ける橋」に似てると言われるのが厭だったのだろうか?

ちなみにこのタイトル、別れたパートナーであるPaul Simonとの関係を想起させようと「友に捧げる讃歌」という邦題がつけられているが、れっきとしたラブソングである。

このジャンルの原型となった「明日に架ける橋」

Simon & Garfunkelの"Bridge over Troubled Water"「明日に架ける橋」(iTunesで聴く)は、このジャンルの原型とも言うべき作品だ。

1970年2月のリリース。

アレンジはJimmie Haskellが担当。ピアノのLarry KnechtelはBreadの人。曲に関する蘊蓄は、ここから。これによると、Phil SpectorがRighteous Brothers向けにつけた"Old Man River"のアレンジがベースとなっているという。ということは、「明日に架ける橋」の原典は、Wall of Soundということ? 時期を同じくしてThe Beatlesの"Let It Be"、"The Long and Winding Road"がオリジナルPhil Spectorにより、ど派手なアレンジを施されているのも興味深い。Righteous Brothersの"Old Man River"は、1965年の"LOVIN FEELIN"というアルバムに収録されている。原型の原型だから、これはぜひ手に入れなければ。既に廃盤らしいが。

Paul SimonはHaskellにアレンジを頼むとき、こう言ったという。「ちょっと曲を書いたんだけど、それにLarry Knechtelがピアノをつけるんだ。Larryが読めるように、楽譜を書いてくれない?」

それでちょこちょこっと譜面を書いたら、それがHaskellにとって最も有名な業績になったというわけだ。今ではピアノ伴奏だけのデモバージョンもリリースされている(iTunesで聴く)。

musikerの音楽夜話によれば、もともと2コーラスだったものを、3コーラス目を後で付け足したらしい。それも、最初はCであったものを、Art Garfunkelのキーに合わせてEbにし、ピアノ伴奏曲に変えたのだと言う。だから、通常なら静かに終わるべきところを引き延ばし、その結果、アレンジも仰々しくなっていったのだろう。そのアレンジも、ベースがスペクターサウンドなら、なおさらだ。

この曲で最も特徴なのは、とてもとてもディープなスネアのリバーブサウンド。3分26秒あたりから、最初は小さな音量で登場する。4分31秒の一発が最後で最も音量が大きい、雷鳴のごとき響き。曲の長さは4分56秒。スペクターサウンドみたいに全体にかかっているのではなくて、スネアだけが深い。これは、前述のSongfactsによれば、エレベーターの一番下のシャフトで鳴らしたスネアの音を、エレベーターの最上階で拾った音なんだそうな。このアイデアを考えついたRoy Halee(S&Gのエンジニア)のインタビューはここ

この「エレベーター・スネア」は、"The Boxer"(iTunesで聴く)にも使われてる。「ライラライッ ツドーン」という部分。

mixiに作ったコミュニティ

「大仰に盛り上がるバラード」というコミュニティを2005年1月5日開設。

能書きはこんなかんじ:

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聞いている人が恥ずかしくなるくらい、ガンガン盛り上がっていくバラードってありますよね。カラオケで歌うとみんなが引いてしまうような。そんな楽曲について語る場所を作りました。

調べたところ、こんな傾向があるようです。
・比較的静かに始まる(できればピアノ)
・静かになる部分がある
・転調でキーが上がる
・深いリバーブのかかったドラム(できればティンパニつきでドーンと)
・ボーカルは高音の持続音で終わる
・外国曲の場合、原題とはかけ離れた大仰なタイトルが付いている

"My Way"に始まり、"Bridge Over Troubled Water"で完成され、Barry Manilowによりスタイルとして確立された名曲たちについて語り合いましょう。

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といった内容。